私の飼っていた猫のレモンちゃんは、私が生まれる少し前に拾われて、家に来た女の子でした。
おそらく種類はミックスでしたが、毛が長く、鼻が低めのお顔でとても可愛らしかったです。
鳴き声がもともと小さい子だったので、名前を呼ぶとお返事はしてくれるのですが、上手に鳴けていない時も多く、そこがまた愛らしいところでした。
私がソファに座ってポンポンと手でソファを触ると、飛び乗ってきて擦り寄って甘えてくれる子でした。
また、家族の中で、私の膝にだけは乗ってくれることがすごく嬉しかったです。
歩き方、走り方に癖のある子で、猫特有のしなやかな感じではなく、常にぴょんぴょん跳ねているような動きをする子でした。
近づいてくると音でわかることが多かったし、その動きが可愛くて、見ているといつも癒されていました。
帰ってくるともう亡くなっていた
レモンが亡くなったのは突然のことでした。
もう10年以上うちの子だったので、相当おばあちゃん猫だったのは確かですが、よく食べよく飲み、よく遊ぶ元気な子でした。
その日も夜19時くらいまではいつも通りの様子でしたが、寝る前から少し様子がおかしくなりました。
水を入れてあるお皿の前に座り込んで、全く動かなくなり、呼んでもお返事もしてくれませんでした。
すぐ病院に連れて行ってあげたかったのですが、当時住んでいたところは田舎で、一番近い動物病院は夜間は診てくれず、他の病院に行くとすると車で2時間ほどかかってしまいます。
不運なことに、次の日が当時中学生だった私の部活の引退をかけた試合があり、夜間にあまり遠くに行くことができませんでした。
次の日私と父は試合会場へ、母はレモンと病院へ行きました。試合には勝つことができましたが、帰ってくるともうレモンは亡くなっていました。
自分の試合のせいですぐ病院に連れて行ってあげられなかった、あんなに可愛がっていて、私に懐いてくれていたこの子の最期に会えなかったと、悲しくて悔しくてしょうがなかったです。
テレビで猫が出てくる度に胸が苦しくなる
レモンが亡くなってから、父や母はレモンの使っていたベッドやおもちゃなどを、少しづつ片付けようと言っていました。
心の中で忘れなければ、レモンも寂しくないし、いつまでもこちらが泣いている方がレモンも悲しむよと言われました。
でも私は、まだ後悔の念が消えず、レモンがいないことが寂しくて、なかなか素直に受け入れられませんでした。
テレビで猫をみると悲しくなったり、港町だったので港に猫がたくさんいたのですが、学校帰りにそこで猫を見ると泣いてしまったりしていました。
食欲も落ちてしまい、せっかく試合に勝ててまだ頑張れることになった部活の方も、レモンが亡くなってしまった当日のことを思い出して、なかなか集中できず、辛い思いをしていました。
ペットロスで苦しんでいる方へ
ペットロスを迎える方に向けてアドバイスをさせていただくのであれば、ひとつは無理に忘れようとしたり、我慢しなくてもいいと思うということです。
大切な家族が亡くなったのですから、思いっきり悲しんで、泣いてもおかしくないと思うからです。
もうひとつは、もし時が経ってから、他の子を家族に迎え入れるとしても、亡くなった子に対して申し訳ないと思わなくてもいいということです。
私もご縁があって、レモンが亡くなってから3年後に新しい猫を家族に迎え入れることになりました。
亡くなってしまった子のことももちろん忘れないし、思い出すことはたくさんありますが、新しい家族に愛情を沢山注いであげることがどちらの子のためにもなると思うからです。